為替相場の仕組み「購買力平価」

価格メカニズムヘの影響大。投機筋が支配する為替市場。為替相場の仕組みで有名な「購買力平価」に関してFXの達人が解説。

FX業界で最初に購買力平価に関するレポートを配信したのはT&C代表の吉田さんです。為替相場予測の精度の高さに絶大な信頼を誇る、株式会社T&Cフィナンシャルリサーチの吉田恒氏が、毎日2回(平日の午前、午後)、為替相場の展望など鋭い視線で解説します。FX初心者の方におすすめのレポート内容です。

これからFXを始めるひともすでにFXを開始している投資家も必ず優良FXサイトで、仕組みや各FX業者のサービスを確認し、fx 比較をしたほうがいいでしょう。

「ビックマック」を物差しにした理論価格も「適正」とは言い切れない

通貨戦争は収まりそうにない。世界各国は通貨安政策を非難し合っている。市場でもディーラーは米国の量的緩和策を「ドル売り」と結び付けてきた。ドルが大量に市場に供給されるから、ドルの為替レートが安くなるなどと解説する。

しかし、ドルが大量に市場に供給されれば下がるのはドル金利であり、ドルの為替レートではない。ドルの為替レートが下がるのは、ドル売―金額がドル買いの金額を上回るときだ。言い換えればドルの供給が需要よりも多いとき。金利の世界と為替の世界は別物なのだ。

では、市場参加者の解説は的外れなのだろうか。それが妥当かどうかを判断するには、量的金融緩和策が為替の需給に影響するメカニズムを明らかにすることが必要だ。①経常取引、②債券売買やM&A(企業の合併・買収)などの資本取引、③投機取引だ。このうち、量的金融緩和に触発されて発生すると考えられるのは、②と③である。ドル金利が下がれば、ドルを借りて高い金利の国の通貨を買い、さらに、当該国の国債などを買う投資家が増える。いわゆるキャリートレードだ。同取引ではドル売り・高金利通貨買いが行われるため、ドルの供給が増える。

一方、こうした取引の活発化に伴いドル下落が相沢疋されるため、単にドル売昨今仕掛ける市場参加者も増える。ドルが下がれば買い戻して利益を確定する。こうした為替のサヤ取りをする投機取引が為替レートの変動に最も大きな影響力を持つのだ。

逆にいえば、資本取引を規制してしまえば投機取引も誘発されず、ドルの供給は増えないことになる。の結果、ドル安にはつながらない。つまり、為替の需給が発生する要因を取り除けば、米国連邦準備制度理事会(FRB)がいくら量的緩和をしても、ドル下落を招くことはない。U月に韓国・ソウルで開かれた主要20力国・地域(G20)首脳会議を境にドル相場が戻した一つの理由は、同会議の声明で新興国の資本規制を当面容認したからだ。

もっとも、グローバル化した経済の枠組みの中で、資本流入を完全に止めるのは非現実的な話だ。このため、潜在的なドル売り圧力はなお残っている。

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資本取引や投機を無視。購買力平価説の限界

そもそも、為替レートはどのように決まるのか。それを説明する概念の一つが「購買力平価説」だ。「同じ商品の価格は二つの国で一致する、という二物一価の原理で為替レートも決まる」という考え方だ。

たとえば、マクドナルドの「ビッグマック」が日本で300円、米国で3ドルだとすれば、300円と3ドルの等しくなるレートが「購買力平価」。1ドル=100円か両国民の購買力を反映した価格というわけだ。この考え方は20世紀前半の金本位制の時代にスウェーデンの経済学者が提唱。今でも購買力平価を「望ましい為替レート」と考える人もいる。

ビックマック指数

英国の『エコノミスト』誌は「ビッグマック指数」を定期的に発表している。これは世界各国のビッグマックの値段と米国のビッグマックの値段を比べるものだ。これも購買力平価の一つ。ビッグマックは世界のどこでも品質やサービスの違いがない、ことが前提だ。

それによれば、日本では今年7月のビッグマックの値段が320円。これに対して米国では3・73ドルだ。したがって、購買力平価はIご=85円79銭になる。ところが、実際の市場レート(7月21日時点)は87円20銭。ドル換算では3.67ドルになる。購買力平価を「望ましい為替レート」と位置づけるならば、市場レートは2%ほど円安になっている。

購買力平価をめぐってはもう一つの考え方がある。「二つの国の物価水準の変化を反映して為替レートが決まる」というものだ。その前提に基づけば、為替レートは「基準時点のレート×(日本の物価指数÷米国の物価指数)」になる。基準時点の為替レートが1ドル=100円、物価指数はそれぞれ100を前提にした場合、その後の物価上昇率が米国で10%(物価指数は110)、日本で5%(同105)だとすれば、100×(105-110)=95円45銭が購買力平価になる。